地方競馬 7701戦2086勝 勝率27.1%、連対率43.6%
中央競馬 20戦1勝
地方競馬の金沢競馬場に所属していた騎手である。秋田県出身。勝負服の柄は赤・白一本輪・青袖。
1985年にデビューしてから2000勝以上の勝ち星を挙げている。1991年から1995年まで(5年連続)と1999年に金沢競馬リーディングを獲得している。
2005年10月に脳梗塞で倒れ、復帰へ向けてリハビリを続けていたが2006年9月に引退した。
地方競馬には、各地にその地方を代表する個性豊かなジョッキー達がいます。ファンは地元のエースこそ日本一の腕を持った名手という思いを心のそこに秘めており、地方競馬を愛するものには、それが地元競馬場への愛着とあいまって、魅力として捕えられているんじゃないかなと思います。
まだネット中継もなくネット投票も無かった時代、各地の名手達は他地域に住んでいる者にとっては神秘のベールに包まれた存在でした。年に数度の交流戦で見ることの出来る鋭い騎乗振りを見て、その魅力の一端に触れ、旅打ち意欲を猛烈に掻き立てられたものではなかったかと想像できます。
そして、金沢の渡辺壮騎手は、そんな、他場にも音に聞こえ、かつ、神秘のベールに包まれた伝説的なジョッキーではなかったかと思います。
渡辺壮騎手は1991年から1995年まで5年連続で金沢競馬リーディング、記録が手元に無いので曖昧なのですが、確かこの間連対率が6割に迫り話題となった記事を見たことがあるような気がします^^;。そして1999年に金沢競馬リーディング返り咲き。他年は騎乗数が減りリーディングを明け渡しますが、その連対率は脅威の数字をたたき出し続け、生涯連対率は43.6.
2003年には177戦して70勝2着38回で連対率61.0、つまり6割を達成と凄まじい数字を出し続けていました。
しかし、昨年10月、脳梗塞に倒れ、懸命にリハビリが続けられている様子が、ブログや公式サイトで伝わってきていました。
5/5にはホシオーの引退式に出席し、同馬に騎乗、大変感動的な式典となった様子も伝えられ、着々と回復しているようでした。
しかし、先週の9/15、残念ながら公式ブログでの引退表明となりました。とても残念ではありますが、これまで沢山の熱いレースを見せてくれ、「最強!」の伝説を残してくれた渡辺騎手に感謝するとともに、前途洋洋たる事を祈りたいなと思います。
渡辺騎手といえば、数々の名馬に騎乗されましたが、やはり一番に頭に浮かんでくるのはミスタールドルフではないかと思います。
ヨシノキング、プレザント、ブルーファミリー、サブリナチェリーなどと同世代。
1993年のダービーグランプリ、地元サラブレッドチャレンジカップでは敗れたヨシノキングを脅威の末足で捕えきりレコード勝ちしたこのレースは、今も語り継がれ、同レース史上最高の名勝負ではと思います。
最近では、今年引退式が行われた、近年の金沢競馬のエース、ホシオーに騎乗し、地元の大一番である中日杯を連覇、白山大賞典3着や園田に遠征しての六甲盃優勝などの活躍に、僕個人も同馬とのコンビを一度は見てみたいものだと思いながら果たせませんでした…。
JRAでも一勝していますが、僕の記憶に残っているのは2000年の8/19の札幌500万下。この時は、当時道営所属だったナミと金沢の認定戦を勝って来たナゾが出ていて、ナゾの騎乗は渡辺壮騎手、ナゾナミ馬券を買ったのが思い出されます。この時は、ナミが2着に入ったんですよね。
初めて(2回目だったかも^^;)金沢競馬に行った時の事も思い出されます。金沢の駐車場に車を止めて競馬場に向かおうとした時、一人のオジサンが僕の方によってきて、
「もう帰るから、これあげる」
と、予想紙(予想屋さんのだと思う)をくれて、そのあと僕の車のナンバーを見て、
「東京から来たの?今日はラッキーだよ。渡辺が乗ってるから」
「外枠の馬に渡辺が乗ったら、必ず抑えなくちゃだめだよ」
と教えてくれたものでした。
まさに、金沢の象徴、といえるような騎手だったのではと思います。その引退は、やはり寂しいものです。
しかし、金沢には新たな金沢を代表する個性的な名手がすでに活躍をしています。吉原寛人騎手は、今年の連対率46.3、米倉騎手は連対率41.8と、すばらしい数字を残しています。
吉原騎手は今年センパツトモでフィリーズレビューにおいて目の覚めるような果敢な先行を見せ、「金沢競馬」の騎手の存在感を全国に謳いあげたのではと思います。渡辺騎手は引退しますが、彼が走り抜けた息吹を受けた後輩達が、金沢競馬を盛り上げ、より一層の熱いドラマを見せてくれるのは間違いの無いことではないか、そう思います。
地方有力騎手の2006年12月17日現在の地方通算成績比較
(武豊騎手は地方成績のみ、それ以外の現JRA所属騎手は地方在籍時の成績)
騎手名 出走回数 勝率 連対率 3着内率
渡辺壮 7701 27.1 43.6 57.1
安藤勝己 14056 23.5 40.5 53.5
菅原勲 14617 22.8 40.0 53.4
岩田康誠 13099 22.5 38.6 52.3
鮫島克也 16381 20.5 36.1 48.6
小牧太 15025 22.5 38.6 51.1
的場文男 26120 20.0 34.7 47.7
武豊 582 21.1 39.3 52.6